ごあいさつ
GREETING
名古屋市立大学 学長

KENJIRO KORI

郡 健二郎

名古屋市立大学 学長

学長あいさつ

この度、文部科学省課題解決型高度医療人材養成プログラムとして本学の「慢性疼痛患者の生きる力を支える人材育成」事業が採択されました。

昨今、医療が多様化する中で、慢性疼痛の治療研究が遅れているとの考えから、この領域に携わる高度な医療人を育てたいという思いで本プログラムに応募させていただきました。

本プログラムの「慢性の痛みに関する領域」には、全国から13件の応募があり、その中から3件が選定されました。本学はその1つで、その責任の重さを感じながら、人材育成を着実に進めてまいります。本学が採択された理由は、「痛みだけではなく、精神心理からのアプローチに目を向けている点」や、「医学部・薬学部・看護学部の医療系3学部に加えて、人間文化研究科専攻臨床心理コース(2017年4月より新設)、さらには病院内の多職種が連携して全学的に取り組む姿勢」が高く評価された、と文部科学省からコメントをいただきました。今後は、この特色を活かしつつ、医学が本プログラムの中心となるものの、薬学、看護学が連携して医療人の養成に取り組んでまいります。

大学の使命には、「教育、研究、社会貢献、医療福祉」の4つがあります。大学における「教育」とは、まさに文字通り知識を「教え」、人材を「育てる」ことだと思っています。本プログラムでは、この思いの上に立った教育をするのだとの責務と誇りを持ち、全国でも先進的なモデルに確立してまいります。とりわけ、本学の伝統的な「ペインクリニック」を基盤として新設する「いたみセンター」からは、先端的な情報を発信する予定です。本学は本プログラムの補助事業終了後、地域に根差した先駆的な取り組みとして、継続してまいる所存です。

本学の新しい取り組みの実現に向け、皆様からの温かいご理解とご支援を心からお願い申し上げます。

明智 龍男

TATSUO AKECHI

明智 龍男

名古屋市立大学大学院医学研究科
精神・認知・行動医学分野 教授

名古屋市立大学病院
こころの医療センター、緩和ケア部 部長

文部科学省 大学教育再生戦略推進費 課題解決型高度医療人養成事業「慢性の痛みに関する領域」
プロジェクトリーダーからのご挨拶

まず文部科学省のホームページから本事業の目的をご紹介いたします。

本事業は、全国の大学・大学病院における人材養成機能を一層強化し、我が国が抱える医療現場の諸課題等に対して、科学的根拠に基づいた医療を提供でき、健康長寿社会の実現に寄与できる優れた医療人材を養成することを目的としています。今回、医療現場等で人材が不足している「慢性の痛みに関する領域」を対象として新たに公募が行われ、私ども名古屋市立大学が「慢性疼痛患者の生きる力を支える人材育成」というプログラムで採択されました。本年2016年度から5年間にわたり本事業を推進してまいります。

名古屋市立大学が担当する本事業では、慢性疼痛に大きな影響を与える心理社会的側面に焦点をあて、多職種アプローチと精神療法をはじめとする精神心理的アプローチを2本の柱とした、我が国では他に類を見ない体系的な人材育成プログラムを編成しました。これは、医学部、薬学部、看護学部に加え人文社会学部を併せ持つ名古屋市立大学の総合大学としての特徴を最大限活かすことのできる事業です。学長の命のもと、名古屋市立大学の総力をあげて取り組んでまいりたいと思います。

以上のような事業の特徴を反映して、教育カリキュラムには、医学部のみならず、薬学部、看護学部の内容も含まれておりますし、講師陣にも医薬看のみならず人文社会学部の教員の協力を得ます。また、これらを実施・普及するために、国立がん研究センター、獨協医科大学、京都大学、慶応大学、同志社大学、名古屋経済大学の各領域の専門家の先生方にもご協力いただきます。

慢性疼痛の理解には、生物学的なメカニズムのみならず、人の精神・心理や行動などを包括した領域の理解が必要ですので、医学部としては本カリキュラムを国際認証でも求められている行動科学分野のカリキュラムとして位置づける予定です。

臨床教育の場として名古屋市立大学病院にも協力を仰ぎ、既存のペインクリニックを拡充して、院内に麻酔科祖父江和哉部長をセンター長とした「いたみセンター」を設立いたしました。病院においては、臨床を通して、慢性疼痛の心理社会的側面の重要性を学ぶプログラムを実践してまいります。

実際に慢性疼痛で苦しむ方はとても多く、日本の医療の大きな問題点となっています。今後、名古屋市立大学で実施する本事業を通して、複雑な慢性疼痛を理解し、適切な医療を提供できる医療人の養成を通して、医学、医療の発展に貢献したいと考えております。

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